大雑把な活版印刷の歴史
活版印刷の歴史はめちゃくちゃ古いです。詳しい歴史はウィキペディアなど見ていただけると良いのですが(汗)。
最初は木活字をつかって印刷してましたが、そのあと金属活字が生まれました。ご覧になったか方も多いかもしれませんが、一つの文字が刻み込まれた小さな金属を一つ一つ組み合わせて版をつくっていくやり方です。ただ日本では欧米と違い文字の量が半端ではないので、そこまで普及せず、木版印刷が主流だったようです。
そのあと、幕末〜昭和と活字製造技術も進歩し、どんどん活版印刷が普及していきました。今の印刷の主流はデジタル印刷、オフセット印刷などですが、それ以前の印刷の主流は、活字をひろって植字作業をして活版印刷をしていました。ただ、これは大変な作業です。活字の量も半端ではないですし、作業時間もとてもかかりました。
ところが、DTPが普及していくと、活字を使った版が必要となくなり、樹脂や金属のプレートがあれば印刷できるようになりました。よって、効率も飛躍的にアップしましたが、なによりも自由に制作印刷できるようになり、現在に至ります。大雑把すぎてごめんなさい。
活版印刷の特徴
さて、このような活版印刷ですが、その特徴はなんといってもあたたかい質感です。
写真は黒のインキですが、このようなドロッとしたインキを印刷機のローラーに付着させます。大きなローラーに付いたインキは、樹脂や金属の版の上を転がります。凹凸のある版の凸の上をローラーが転がるとその凸のところにだけインキが付着します。そのあとに、こんどはインキのついた凸の部分が紙に押し当てられます。
これで紙にインキが転写されるわけです。押し当てるときに適度な圧力をかけますので、紙はなんとなく凹みます。活版印刷が盛んな時代は極力凹まさないように、同時にきれいに印刷することが大切でした。なぜならば、書籍などは紙が薄く、両面を印刷する際に、凹ませてしまうと、その反対の面、裏面に影響がでてしまいます。それを両面刷りすると、とても見栄えが悪いですよね。
現在は、その逆に紙をグッと凹ませて、印刷の質感を楽しむことが主流です。立体的な仕上がりになるわけです。ぶどうを印刷した画像をご覧いただくとわかりますが、なんとなく凹んでいるのがよく分かると思います。なんだか触りたくなりますよね。今のデジタル印刷にはありえない仕上がりです。
その特徴は凹むこと以外にもあります。
それは「カスレ」です。
その極端な例が、紺色で印刷された葉っぱです。この版は樹脂や金属ではなく、カーサブルーが彫刻刀で制作した木版です。見ていただくとよくわかるかと思いますが、きれいにインキが紙に付着していません。とてもかすれているのがわかると思います。これは木版なので極端な例ではありますが、このような印刷になることも、特徴のひとつです。これもデジタル印刷にはありえないことです。
活版印刷のあたたかさ
カーサブルーでは、大量の印刷物を制作する際に使用する大型の活版印刷機、また結婚式のアイテムを制作する際に使用する中型の活版印刷機、お客様がご自身でDIYで制作する際に使用する小型のテキンという印刷機をメインにしております。版は樹脂版や金属版、1世紀前のイングランド製の木版などを使用して印刷しています。
このような古い機械から自然に生まれるカスレやムラ、そして紙が凹むことによる陰影と質感は、繰り返しになりますが、デジタル印刷にはありえないことです。AI技術に頼る印刷がデジタル印刷とするなら、人の手や感覚に頼る印刷がこの活版印刷です。五感が疎かになっているいま、カーサブルーがどうしてもこだわりたい、受け継いでいきたい手仕事なんです。